2011年04月03日

「助手という仕事」/本介さん

さて、この記事は最終日の朝に書いている。
いよいよ『スーサイドエルフ/インフレ世界』の舞台も本日で終了してしまう。
みなさんのおかげで、ここまできました。本当に感謝しています。

終了の前に、書いておかなければ/紹介しておかなければならないことがある。

役者紹介リレーの最後に、僕から紹介すべき二人を書かねばな。

演出助手の藤村和樹と、吉田麻美のことだ。

今回はこの二人にすさまじく助けられた、というより、今まで演出助手をつかないで公演していたので、大混乱の乱だったのだ。

それが、この二人の活躍により、すべてが進む。すいすい進む。すさまじい勢いだ。
今回の公演の成功は、二人のおかげといっても過言ではない。絶対にそうだ。

ちなみに、お芝居な業界に居ない人のために説明すると、『演出助手』とは、文字通り「演出の補佐」。その仕事の種類は現場によってまちまちではあるけれど、ジエン社の場合、演出の本介さんは、事務的な手続きが壊滅的に出来ない。
 具体的に言うと、日程調整ができないし、今日の稽古に誰が来るのかを把握できない。どのシーンをやれるのかもわからないし、どの小道具が足りててどの小道具が足りてないのか、図面が上がったところで、稽古場でどう本物の舞台の設備があるのかどうかしるしをつける(いわいるバミるという行為である)ことができない、稽古場の手続きが出来ない、そもそも、稽古場がどこにあるのかわからない、稽古場に行く道を迷う、自己の存在に悩む、服が毎回同じ、顔が汚い、靴下が穴あきだ、とか、まあ、そういうていたらくである。

 それを、靴下や顔の悩み以外のすべてをカバーするのが、吉田と藤村だ。

 まずは、藤村だ。
 彼は第四回公演に俳優として出演してもらった。てあとろ50'という、早稲田の若い演劇サークルの新人のときに「なんか知らないが何かが出来そうだ」と思ってキャスティングしたのだが、「不器用すぎる」という欠点を稽古場で発見した俳優だ。仕事も、不器用だ。生きることも、不器用だ。
 だけど今回、企画がスタートする直前に「え、えんしゅつ助手をやらせてくださぃ」という、日本語にならない発話で声をかけてくれたので、よしっと思いカレーをおごった覚えがある。
 「その代わり少し出してください」ともそのあと発話していたらしいのだが、どうもその辺はしたたかよのうと苦笑いをした覚えもある。で、事実彼は少し出る。普段は僕がチョイ役で出る役どころに、彼は出る。

 彼の仕事は、基本的に稽古場内でのこまごまとした雑務担当だ。集合時間より早く来て稽古場の受付をしたり、代役で入ったり、稽古場バミりをしたり、ご飯休憩をとらない僕の代わりにやきそばパンを買ってくれたりする、そういう仕事だ。
 そしてそのすべてを、不器用と、しかし「何かやらねば」という呆然としたオーラで、がりがり、やる。
 しかしあまりに不器用なため、「がりがり」という効果音的オーラを発して、結果的に何もしない、という事も多々あった。しかし、今では稽古場の誰よりもバミりは完璧である。ピンポイントで小道具を持ってきて、ドヤ顔をすることもある。いやあ、あれはすさまじいドヤ顔だった。額に切り取って飾っておきたいほどの「ドヤ」だった。かしわ手を打ったね。

 で、彼は本番中も、舞台監督の桜井君とともに、映像の照射助手や、ラストにちらっと出る役(が、かなり重要な役)をやっている。彼にもかなりの量の演出をつけた。具体的に言えば「2011年の『権力』の現在というものを、その体で表現するのだ、ワタミのバイトみたいに! 東電の社員みたいに!」とかいった覚えがある。
 藤村は、ぽかんとしていた。
 そんなやつです。
 彼は今「フミツケペッタン」なるユニットを作って、今年の秋口に公演をうとうとしている。僕は彼にギャラを払えない代わりに、彼の公演に手伝えることがあったらいろいろ手伝う、という約束をした。とりあえず、彼には僕にしてくれたように、焼きそばパンを買ったり、バミりをしたり、稽古場の予約くらいしてやろうと思う。
 俳優としても、変な体をしているヤツです。若いです。本当にお世話になった。『筆記具を忘れるほうの演出助手』、藤村だ。

 で、もう一人の『優秀なほう』の演出助手、吉田だ。
 吉田には本当に助けられた。僕にはまるで出来ないことのすべてを担当してくれた。藤村が、稽古場の内部の担当なら、吉田は稽古場の周辺を担当したという役割分担だ。
 たとえば、稽古日程を表にする、遅刻連絡者の中継、だれがどのシーンに居るのか、とかのすべてのまとめ。小道具のチェックやリスト化、その他、細かいところのすべてを、すべてを、吉田はやる。
 一番の功績といえば、稽古場の全ユースリーム化を担当してくれたことだろう。これは、我ながらよく分からないがすごいなと思う。稽古場を、全日程、すべて動画として中継し、しかも録画してあるので形に残す。これってかなり重要な仕事だったんじゃないか。

 ちょっと吉田からは脱線するが、この全ユーストリーム動画の録画は、たしかに視聴数も少ないし、画質も決してよかったとはいえない。ただし、「毎日稽古が記録してあって、しかもそれをいつでも閲覧できる状態にした」というのは、小さく革命的ではなかったかと思っている。これは、この公演には直接は役に立たないだろうけれど、いつかこれが重大な資料になる気はするのだ。もちろん、カメラの画格や、その質の問題など、問題にすべきことは多い。ただし、ひとつの集団が作品にするまでの稽古場の全貌を、この規模の劇団が動画記録したというのは、画期的なことではないかと僕は少しおもって居る。
 それを、吉田はやった。

 吉田は、ジエン社の旗揚げから劇を見てくれている。吉田のファイルには過去作品の当日パンフレットや、僕自身ですら紛失している資料なども大切に保管してくれている。
 なんだかもう、あれだな、こういう人に、僕は芝居を見られていたのか、と思うと、芝居をやってよかったなあと思うのだ。同時に、震える。緊張でだ。

 僕が吉田に払える対価は何だろうと考える。吉田は四月一日から、社会人になった。
 今後吉田は、仕事として、演劇や公演の、財政や助成にかかわる仕事をするらしい。昨夜、僕は吉田に、ジエン社でかかる費用のすべてを、事細かに話した。そして
この規模の小劇場というものが、どれだけの財務で運営されているか、あるいは、何を欲しているか。
 そんなくらいしか対価が払えなくて申し訳なく思うが、僕が体で得てきた「表現と金銭の現実」の情報を、本当に時間がわずかであったが、伝えたつもりだ。
 
 それにしても、吉田の情熱は何によるものなのだろう。たしかに僕も表現を、なんでこんな情熱をかけてやるのか、と問われることはある。僕はだいたい「別に情熱ってほどでもなあー」と呆然としたりぼんやりしたりするんだけれども、吉田の仕事のそれは、情熱としか言いようがない。仕事の端々から、それは伝わる。
 助手は、クリエイティブに直接関係がない仕事だといわれるが、とんでもない話だ。
 彼らの仕事は、ダイレクトに創作に反映される。いい仕事には、いい舞台表現には、その裏には、小道具のひとつひとつには、表方に名前の載らない、情熱的な助手やスタッフの情念がある。

 ちなみに僕にも、演出助手経験がある。あの「事務仕事がまるで出来ない」ジエン社社長が、無謀にも大きな劇場でやる公演の演出助手をやったことがあるのだ。
 そこでも、僕は確かに、念みたいなものはこめた。
 小道具の枕を、意味がないかもしれないけど、少しでもふかふかにしようと天日干ししたり、小道具の本のブックカバーを毎日取り替えたり、地味で誰も見ないだろうなという事を、それでも、すこしでも、できることを、と、必死になってやった覚えがある。

 僕は、この二人の仕事を、忘れないだろう。実際、知っている。この公演は、確実に彼らとともにあったのだった。

 さてさて、長い文になり、さらにいろいろ脱線してはいるが、本日は最終日である。
 当日券もあります。あんまり表立っていってないですが、リピーター割引もあります。
 さらに当日は、助手吉田が尽力を尽くした、過去脚本戯曲の販売もあるのです(ここでも吉田はすさまじい仕事ぶりを発揮した!! 本当は戯曲販売に手間がかかることを恐れた主宰は消極的だったのだが、製本の手続きのすべてを担い販売にこぎつけたのだ!!)。
 ぜひともご来場いただき、われわれの戦いに参加してほしく思います。
 よろしくお願いします。

 主宰・作者本介
 

posted by ジエン社ブログ at 08:10| Comment(3) | TrackBack(0) | 社長・本介さんが疲れた。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
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